成年後見制度とは
・成年後見人の仕事は、主に「生活支援」と「財産管理」であるが、最高裁判所のデ−タによれば、成年後見申立の動機の70%近くが「財産管理」と「遺産分割協議」とされる。 ・「財産目録の作成」、「生活プランの作成」、「裁判所への報告」などを行う。
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・成年後見制度とは、平成12年4月、介護保険制度と同時にスタ−トした従来の禁治産、準禁治産制度に代わる新しい後見制度です。
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成年後見人選任の申立の流れ |
(1)医師の診断書の取得 |
・診断書に、「本人は意思表示が出来ない」旨を明確に記入してもらうことが大切である。 ・この診断書で意思表示が出来ないことが明確に判断できれば、次の「医師の鑑定」は必要なくなる。 |
(2)医師の鑑定について |
・家庭裁判所からの「鑑定の依頼」に応じる医師が少ないため、6カ月程、時間がかかる。 ・費用が10万円ほど掛かる。 |
(3)本人の財産の把握と月別の収支の把握 |
・預貯金が4,000万円以上存在する場合には、家庭裁判所は成年後見監督人として「弁護士」、「司法書士」、「行政書士等」を選任するケ−スが多い。 ・監督人は、財産目録の提出、収支報告書の作成が義務付けされる。監督人には、毎月1万5千円〜3万円の報酬を支払うことになる。 |
(4)必要書類の収集 |
・本人及び申立人の戸籍謄本及び住民票、 ・本人の診断書、及び登記されていないこと(被後見人としての登記)証明書。 ・「被後見人として登記されていないこと証明」については、本人しか謄本を取得することができないので、「委任状により司法書士に依頼」するケ−スが多い。 |
(5)家庭裁判所への申立時の注意点 |
・成年後見人選任の申立には、後見人となる人との面接があり、被後見人の様子や後見人となる方が後見人制度を正しく理解しているか等を聞かれる。 ・親族の反対など相続争いの火種があると、第三者の専門家が選任される場合もある。 |
(6)成年後見監督人の選任 |
・預貯金4千万円を超える場合には、「成年後見監督人」が選任される。 |
(7)審判が下りるまでの期間 |
・審判には、約2〜3カ月くらいかかる。 |
1.任意後見 |
2.法定後見 |
種 類 | 対象となる程度 | 適 用 | |
補 助 | ・判断能力が不十分な場合 | ・補助の申立ての場合は、十分ではないがまだ本人に判断する能力があるので、補助を開始する時には「本人の同意」も求められます。 |
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保 佐 | ・判断能力が著しく不十分な場合 | ・お金を借りたり、保証人となったり、不動産を売買するなど法律で定められた一定の行為について、「家庭裁判所が選任した保佐人の同意」を得ることが必要になります。 |
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後 見 | ・判断能力が全くない場合 | ・審判が出て後見が開始されると、本人は「選挙権を失い」、「印鑑登録も抹消」されます。また「資格」や「地位」も失います。
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・法定後見・保佐・補助が発効、もしくは任意後見契約が成立すると裁判所、公証人の嘱託により東京法務局後見登録課で後見登記がされる。その登記事項は、登記事項証明書により証明される。
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成年後見人 | 任意後見人 | |
後見人はいつ、誰が決める? |
・親に判断能力がなくなってから、「家庭裁判所」が選任 | ・親に判断能力があるとき、親が将来の後見人を選び「公正証書」で契約 |
後見人の仕事を限定できる? | ・できない | ・契約によりできる |
後見人を直接監督するのは誰? |
・家庭裁判所 |
・家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」 |
法定後見制度 | 任意後見制度 | |
後見監督人がつく場合 |
・家庭裁判所が必要と認めた場合のみつく | ・必ずつく |
後見監督人をつける手続き |
・被後見人や後見人等が家庭裁判所に申し立てる(候補者を推薦できない。) |
・被後見人の家族が家庭裁判所に申し立てる(候補者を推薦できる。) |
選 任 | ・家庭裁判所が行う |
・家庭裁判所が行う(候補者が選任されるとは限らない) |
正式名称 | ・成年後見監督人 ・補佐監督人 ・補助監督人 |
・任意後見監督人 |
職 務 | ・成年後見人、保佐人、補助人の行為をそれぞれ監督する |
・後見人の行為を監督する(具体的な内容は任意後見契約ごとに異なる) |
後見監督人になれない人 | ・後見人の配偶者、直系血族、兄弟姉妹 ・未成年者 ・過去に後見人を辞めさせられたことのある人 ・破産者 ・過去に後見人を訴えたことがある人 ・行方不明者 |
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家庭裁判所への報告義務 | ・ある |
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後見人の解任 | ・家庭裁判所に請求できる |
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報 酬 | ・家庭裁判所が決定する |
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辞 任 | ・できる |
・任意後見契約は、相手が成人であれば誰とでも結ぶことができます。しかし、「破産した人」「本人に対して訴訟を起こしたことがある人」「金銭面にル−ズな人」は除きます。
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・上記のように本人の死後、「医療費の精算」、「お葬式を出したり」、「お墓を建てたり」、「遺産の処理をしたり」と死後の事務について、生前に本人と委任契約を結んでおくことを「死後事務委任契約」といいますが、公証人役場において「公正証書」にしておくことをお勧めします。 参照ペ−ジ
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@福祉サ−ビスの利用援助 |
A日常的な金銭管理 |
B書類等の預かりサ−ビス |
・守備範囲はあくまで日常生活なので50万円を超えるような金銭を扱うことは出来ません. ・不動産の売却などの法律行為 ・有料老人ホ−ムなど施設との契約などの代行 ・悪質商法に対するク−リング オフの代行はできますが、同制度の適用期間を過ぎた契約 の取り消しはできません |
・国家公務員法では、成年後見制度を利用した場合には、「公務員」「保育士」になれない。他に約180の法律で欠格条項を設けており、下記の資格・免許が制限されている。
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・本人のためにどうしても必要な場合には、「家庭裁判所に相談」し「利益相反行為」とされないようにする。
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