同族会社と特定同族会社            



「同族の同族会社」については、その定義が法人税法67条に規定されていたが、平成18年改正により無くなり「特定同族会社」に改正された。

・この改正により、特定同族会社とは
「同族関係者3グル−プで株式等50%超保有」「同族関係者1グル−プで株式等50%超保有」と変更された。


  同族会社とは

 同族会社とは 

・同族会社とは、会社の株主等の3人以下、並びにこれらの株主等と特殊の関係のある法人及び個人(同族関係者)が、その会社の株式の総数又は出資金額の50%超を保有している会社をいいます(医療法人などの法人や協同組合などの組合は会社でないため 同族会社には該当しません。)。  
・同族会社の判定に当たっては、単に株主等3人だけではなく、 その株主等の
「同族関係者」の持分を合わせて1グループとし、 これを1人の持株とみて、「3グループまでの組み合わせで株式等の50%超を保有」しているかどうかを判定します。  なお、同族関係者とは次のような者をいいます。

同族関係者とは

@個人の場合  

イ 株主等の親族(配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族)

ロ 株主と内縁関係(事実上婚姻関係と同様の事情)にある者、

ハ その株主等の使用人、

ニ その株主等から受ける金銭により生計を維持している者、

ホ 上記ロからニの者と生計を一にするこれらの者の親族

A法人の場合  

イ 株主等の1人(個人の場合は同族関係者を含む、以下同 じ)が他の会社を支配(50%超の関係)している場合の他の会社、

ロ 株主等の1人とイ


  特定同族会社とは

特定同族会社とは 

・特定同族会社の判定においては、まず
「被支配会社」の概念を理解する必要があります。被支配会社とは、「会社の株主等の1人とその同族関係者がその会社の株式の総数又は出資金額の50%超を保有している会社」をいいます。  

・そして、この被支配会社のうち、被支配会社に該当するかどうかの判定の基礎とされた株主等のうちに被支配会社でない法人
(株主等)がある場合、その被支配会社でない法人を判定の基礎となる株主から除外して判定しても、まだ被支配会社となる会社を特定同族会社といいます。  

・つまり、被支配会社が2社続いた場合の2社目が
「特定同族会社」

・例えば、
「非同族会社の子会社」などは同族会社ですが特定同族会社には該当しないことになりますし、1人の個人及びその同族関係者が過半数を支配しているような会社は特定同族会社に該当することになります。  

・なお、「資本金1億円以下」の会社については、「資本金5億円以上の会社の100%子会社等」を除き特定同族会社には該当しないこととされています。



**下記の3つの要件を備えた場合に「特定同族会社」となる**

要   件

内   容
要   件1
同族会社

・上位3株主グループで、持株割合が50%超となる会社
要   件2
被支配会社

・上位1株主グループで、持株割合が50%超となる会社
要   件3 一定の会社
・判定会社の上位1株主グループに、
「被支配会社でない法人株主」が含まれる場合、この法人株主を除外しても、判定会社が被支配会社となる会社

・法人株主がいない場合には、
「特定同族会社」になる。



事    例

・P社、S1社、S2社は、P社を頂点とした100%グループ会社

・P社自身は、少数株主多数、単独で過半数所有している株主はいない。

・全ての会社の資本金は、1億円超とします。

・P社、S1社、S2社、それぞれ留保金課税が適用される会社か?判定します。

P社(少数株主多数)
           
(100%)
S1社(子会社)

(100%)
S2社(孫会社)

解            説


・P社は、株主多数(単独で過半数所有はいない)のため、要件1を満たさず、「同族会社」に該当しません。

子会社S1の判定

1.上位3株主グループで、持株割合が50%超となるか?

・S1社は、P社に100%保有されているため、要件1を満たし、
「同族会社」に該当します。

2.上位1株主グループで、持株割合が50%超となるか?

・S1社は、P社に100%保有されているが、P社を除外して判定しても、単独で過半数を所有する株主はいないため、S1社は
「被支配会社にはならない。」

****
内    容
結   果
手   順1
判定の基礎となった株主等とは?

・第1株主順位グループのP社。
手   順2
株主等のうち、「被支配法人でない法人」かあるか?

・P社は少数株主多数の「被支配会社でない法人」 ⇒株主等のうちに
「被支配会社でない法人」はある。
手   順3 当該法人を、その判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合でも被支配会社となるか?
・P社を除外して、再度S1社が被支配会社になるかを判定する。再判定後の第1順位の株主はなし。

・P社を除外して判定しても、単独で過半数を所有する株主はいないため、S1社は「被支配会社」にはならない。

孫会社S2の判定

1.上位3株主グループで持株割合50%超となるか?

・S2社は、S1社に100%保有されているため、要件1を満たし、
「同族会社」に該当します。

2.上位1株主グループで、持株割合が50%超となるか?

・S2社は、S1社に100%保有されているため要件2を満たし、
「被支配会社」に該当します。

****
内    容
結   果
手   順1
判定の基礎となった株主等とは?

・第1株主順位グループのS1社。
手   順2
株主等のうち、「被支配法人でない法人」かあるか?

・S2社はS1社に100%保有されているので、「被支配会社」 ⇒株主等のうちに
「被支配会社でない法人」はない。
手   順3
当該法人を、その判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合でも被支配会社となるか?

・除外する株主はいないため、手順2で終了。 ⇒被支配会社となる


参照ペ−ジ