物納による相続税の納税            



  物納の要件

・相続税については、遺産取得課税という性格上、金銭納付の例外として、一定の相続財産による「物納」が認められている。

・物納の許可を受けるためには、次に掲げる全ての要件を満たしていなけれぱならない。

* * * 物納の要件 * * *

  @延納によっても、金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること

  A物納申請財産が、定められた種類の財産で申請順位によっていること


  B物納申請書及び物納手続関係書類を期限までに提出すること

  C物納申請財産が、物納適確財産であること




  物納申請財産の選定要件


* * * 物納申請財産の選定要件 * * *

  @物納申請者が、相続により取得した財産で日本国内にあること

  A管理処分不適格財産でないこと

  B物納申請財産の種類及び順位に従っていること

  C
「物納劣後財産」に該当する場合は、他に適当な財産がないこと

  D物納に充てる財産の価額は、原則として物納申請税額を超えないこと




  物納に充てることのできる財産の種類及び順序


納付すべき相続税額
種  類  物納に充てることのできる財産の種類
第1順位
@国債、地方債、不動産、船舶


・不動産には、
「地目別」、「利用区分別」の優先順位の定めはない。

「地目別優先順位の定めがない」とは、不動産であれば「宅地」でも「畑」でも「雑種地」でも「山林」でも「みんな同順位」である。

「利用区分別優先順位の定めがない」とは、「自用地」でも「貸地」でも「貸家建付地」でも「賃借権が設定されている土地」ても「みんな同順位」である。

「貸地」は、「管理処分不適格財産」でもないし「物納劣後財産」でもないので、物納申請財産の選定は相続人に委ねられている。

・不動産には「棚卸資産である不動産」も含まれるが、その場合には、事業所得として所得税の課税の対象となることに注意が必要である。

A不動産のうち
「物納劣後財産」に該当するもの

具体的なものは、相続税法施行令19条に規定している。

(1)物納申請者において物納劣後財産を物納に充てることについてやむを得ない事情があると税務署長が判断した場合や、

(2)相続財産の中で物納申請の際に現に有するもののうちに物納に充てることのできる適当な価額の財産がない場合については、他に物納に充てるべき適当な財産がある場合であっても、物納劣後財産を物納に充てることができることとされています。  

・この場合には、物納申請書の提出に当たって別紙
「物納劣後財産を物納に充てる理由書」を併せて提出し、その理由等を明らかにする必要がある。

第2順位
B社債、株式(特別の法律により法人の発行する債権、及び出資証券を含む。)、証券投資信託、又は貸付信託の受益証券



・特別の法律により法人の発行する債権、及び出資証券とは、商工債又は農林債又は長期信用銀行債等の金融債、旅行債権、都市基盤整備債権等の政府機関債、日本銀行出資証券をいう。

「非上場株式の物納」においては、非上場株式の売払に係る「随意契約適格者」から買受意向が示されているもの意外は、速やかに一般競争入札により処分するとされ、5年以内に処分されることとされている。

・この場合の
「随意契約適格者」には、発行会社も含まれ、発行会社が買取ることもできる(金庫株化)。

・発行会社が金庫株として取得する場合には、
「分配可能利益の範囲内に限定」されている。


C株式(特別の法律により法人の発行する債権、及び出資証券を含む。)のうち、物納劣後財産に該当するもの
第3順位
D動産

・相続開始前から所有していた特定登録美術品は、この表の順位によることなく、物納に充てることのできる財産とすることができる。

「特定登録美術品」とは、「美術品の美術館における公開の促進に関する法律」に定める登録美術品のうち、その相続開始前において、すでに同法による登録を受けているものをいう。




  延納によることのできる金額(延納許可限度額)の計算方法


* * * 延納許可限度額 * * *
   @納付すべき相続税額
現金納付額
A納期限において有する現金、預貯金、その他の換価が容易な財産の価額に相当する金額

B申請者及び生計を一にする配偶者、その他の親族の3カ月分の生活費

C申請者の事業の継続のために(1か月分)必要な運転資金(経費等)の額

D納期限に金銭で納付することが可能な金額(これを「現金納付額」という。)

  (A−B−C)
   E延納許可限度額 (@−D)



  物納することができる金額(物納許可限度額)の計算方法


* * * 物納許可限度額 * * *
      @納付すべき相続税額
      A現金納付額 上の表のD
延納によって納付することができる金額
B年間の収入見込額

C申請者及び生計を一にする配偶者、その他の親族の年間の生活費

D申請者の事業の継続のために必要な運転資金(経費等)の額

E年間の納付資力(B−C−D)

Fおおむね1年以内に見込まれる臨時的な収入

Gおおむね1年以内に見込まれる臨時的な支出

H上記の表のB及びC

I延納によって納付することができる金額{E×最長延納年数+(F−G+H)}
   
      J物納許可限度額 (@−A−I)