取引相場の無い株式評価明細書の書き方 5表
第5表 1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書
1 この表は、「1株当たりの純資産価額(相続税評価額)」の計算のほか、「株式保有特定会社」及び「土地保有特定会社」の判定に必要な「総資産価額」、「株式及び出資の価額の合計額」及び「土地等の価額の 合計額」の計算にも使用します。 なお、この表の各欄の金額は、「各欄の表示単位未満の端数を切り捨て」て記載します。
2 「1.資産及び負債の金額(課税時期現在)」の各欄は、課税時期における評価会社の各資産及び各負債について、次により記載します。
(1) 「資産の部」の「相続税評価額」欄には、課税時期における評価会社の各資産について、財産 評価基本通達の定めにより評価した価額(以下「相続税評価額」といいます。)を次により記載します。
イ .課税時期前3年以内に取得又は新築した土地及び土地の上に存する権利(以下「土地等」と いいます。)並びに家屋及びその附属設備又は構築物(以下「家屋等」といいます。)がある場合には、当該土地等又は家屋等の相続税評価額は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額(ただし、その土地等又は家屋等の帳簿価額が課税時期における通常の取引価額に相当すると認められる場合には、その帳簿価額に相当する金額)によって評価した価額を記載します。この場合、その土地等又は家屋等は、他の土地等又は家屋等と「科目」欄を別にして、「課税時期前3年以内に取得した土地等」などと記載します。
ロ .取引相場のない株式、出資又は転換社債(財産評価基本通達197−5((転換社債型新株予約権 付社債の評価))の(3)のロに定めるものをいいます。)の価額を純資産価額(相続税評価額)で評
価する場合には、評価差額に対する法人税額等相当額の控除を行わないで計算した金額を「相続税評価額」として記載します(なお、その株式などが株式保有特定会社の株式などである場合において、納税義務者の選択により、「S1+S2」方式によって評価する場合のS2
の金額の計算においても、評価差額に対する法人税額等相当額の控除は行わないで計算することになります。)。この場合、その株式などは、他の株式などと「科目」欄を別にして、「法人税額等相当額の控除不適用の株式」などと記載します。
ハ .評価の対象となる資産について、帳簿価額がないもの(例えば、借地権、営業権等)であっ ても相続税評価額が算出される場合には、その評価額を「相続税評価額」欄に記載し、「帳簿価額」欄には「0」と記載します。
ニ .評価の対象となる資産で帳簿価額のあるもの(例えば、借家権、営業権等)であっても、そ の課税価格に算入すべき相続税評価額が算出されない場合には、「相続税評価額」欄に「0」と 記載し、その帳簿価額を「帳簿価額」欄に記載します。
ホ .評価の対象とならないもの(例えば、財産性のない創立費、新株発行費等の繰延資産、繰延税金資産)については、記載しません。
ヘ .「株式及び出資の価額の合計額」欄のイの金額は、評価会社が有している(又は有している とみなされる)株式及び出資(以下「株式等」といいます。)の相続税評価額の合計額を記載します。この場合、次のことに留意してください。
(イ) 所有目的又は所有期間のいかんにかかわらず、すべての株式等の相続税評価額を合計しま す。
(ロ) 法人税法第12 条((信託財産に係る収入及び支出の帰属))の規定により評価会社が信託財産を有するものとみなされる場合(ただし、評価会社が明らかに当該信託財産の収益の受益権のみを有している場合を除きます。)において、その信託財産に株式等が含まれているときには、評価会社が当該株式等を所有しているものとみなします。
(ハ) 「出資」とは、「法人」に対する出資をいい、民法上の組合等に対する出資は含まれません。
ト. 「土地等の価額の合計額」欄のハの金額は、上記のヘに準じて評価会社が所有している(又 は所有しているとみなされる)土地等の相続税評価額の合計額を記載します。
チ .「現物出資等受入れ資産の価額の合計額」欄のニの金額は、各資産の中に、現物出資、合併、 株式交換又は株式移転により著しく低い価額で受け入れた資産(以下「現物出資等受入れ資産」
といいます。)がある場合に、現物出資、合併、株式交換又は株式移転の時におけるその現物出 資等受入れ資産の相続税評価額の合計額を記載します。
・ただし、その相続税評価額が、課税時期におけるその現物出資等受入れ資産の相続税評価額を上回る場合には、課税時期におけるその現物出資等受入れ資産の相続税評価額を記載します。
・また、現物出資等受入れ資産が合併により著しく低い価額で受け入れた資産(以下「合併受入資産」といいます。)である場合に、合併の時又は課税時期におけるその合併受入資産の相続税評価額が、合併受入資産に係る被合併会社の帳簿価額を上回るときは、その帳簿価額を記載
します。
(注) 「相続税評価額」の「合計」欄の@の金額に占める課税時期における現物出資等受入れ資産の相続税評価額の合計の割合が20%以下の場合には、「現物出資等受入れ資産の価額の合計額」欄は、記載しません。
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(2)「資産の部」の「帳簿価額」欄には、「資産の部」の「相続税評価額」欄に評価額が記載された各資産についての課税時期における税務計算上の帳簿価額を記載します。
(注) 1 固定資産に係る減価償却累計額、特別償却準備金及び圧縮記帳に係る引当金又は積立金 の金額がある場合には、それらの金額をそれぞれの引当金等に対応する資産の帳簿価額から控除した金額をその固定資産の帳簿価額とします。
(注)2 営業権に含めて評価の対象となる特許権、漁業権等の資産の帳簿価額は、営業権の帳簿価額に含めて記載します。
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(3)「負債の部」の「相続税評価額」欄には、評価会社の課税時期における各負債の金額を、「帳簿価額」欄には、「負債の部」の「相続税評価額」欄に評価額が記載された各負債の税務計算上の帳簿価額をそれぞれ記載します。この場合、「貸倒引当金、退職給与引当金、納税引当金及びその他の引当金、準備金並びに繰延税金負債」に相当する金額は、負債に該当しないものとします。
・ただし、退職給与引当金のうち、法人税法第54 条((退職給与引当金))第2項に規定する退職給与引当 金勘定の金額に相当する金額は負債とします。
なお、次の金額は、帳簿に負債としての記載がない場合であっても、課税時期において未払いとなっているものは負債として「相続税評価額」欄及び「帳簿価額」欄のいずれにも記載します。
イ .未納公租公課、未払利息等の簿外負債の金額
ロ .課税時期以前に賦課期日のあった「固定資産税」及び「都市計画税」の税額
ハ. 課税時期の直前に終了した事業年度の利益処分として確定した配当金額(課税時期において配当金交付の効力が発生していない場合は除きます。)及び役員賞与の金額
ニ .被相続人の死亡により、相続人その他の者に支給することが確定した退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与の金額(ただし、法人税法第54 条((退職給与引当金))第2項に規定する退職給与引当金の取崩しにより支給されるものは除きます。)
ホ. 課税時期の属する事業年度に係る「法人税額、消費税額(地方消費税額を含みます。)、事業税 額、道府県民税額及び市町村民税額」のうち、その事業年度開始の日から課税時期までの期間に対応する金額
(4)1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算は、上記2(1)から(3)の説明のとおり課税時期 における各資産及び各負債の金額によることとしていますが、評価会社が課税時期において仮決算を行っていないため、課税時期における資産及び負債の金額が明確でない場合において、直前
期末から課税時期までの間に資産及び負債について著しく増減がないため評価額の計算に影響が少ないと認められるときは、課税時期における各資産及び各負債の金額は、次により計算しても差し支えありません。このように計算した場合には、第2表の「2.
株式保有特定会社」欄及び 「3. 土地保有特定会社」欄の判定における総資産価額等についても、同様に取り扱われることになりますので、これらの特定の評価会社の判定時期と純資産価額及び株式保有特定会社のS2
の計算時期は同一となります。
イ 「相続税評価額」欄については、直前期末の資産及び負債の課税時期の相続税評価額
ロ 「帳簿価額」欄については、直前期末の資産及び負債の帳簿価額
(注)1 イ及びロの場合において、上記2の(3)のイからニまでに掲げるそれぞれの金額は、負債として取り扱うことに留意してください。
(注)2 被相続人の死亡により評価会社が「生命保険金を取得する場合」には、その生命保険金請求権(未収保険金)の金額を「資産の部」の「相続税評価額」欄及び「帳簿価額」欄のいずれにも記載します。
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3 「2.評価差額に対する法人税額等相当額の計算」欄の「帳簿価額による純資産価額」及び「評価差額に相当する金額」がマイナスとなる場合は、「0」と記載します。
4 「3.1株当たりの純資産価額の計算」の各欄は、次により記載します。
(1) 「課税時期現在の発行済株式数」欄は、課税時期における発行済株式の総数を記載しますが、評価会社が自己株式を有している場合には、その「自己株式の株式数を控除した株式数」を記載します。
(2) 「同族株主等の議決権割合(第1表の1のDの割合)が50%以下の場合」欄は、納税義務者が議決権割合(第1表の1のDの割合)50%以下の株主グループに属するときにのみ記載します。
(注) 納税義務者が議決権割合50%以下の株主グループに属するかどうかの判定には、第1表の1の記載方法等の3の(5)に留意してください。
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即時償却した場合の資産金額
・100%の即時償却をした場合には、帳簿価額は当然備忘価額1円だが、相続税評価額は、「通常の普通償却控除後の金額」にすべきと、国税庁は回答している。