比準要素数1の会社の判定             


  第4表の考え方-「株価計算」と「判定」では用いる算式が異なる

・1株(50円)当たりの
「年配当金額B」、及び1株(50円)当たりの「年利益金額C」の計算において、「株価算定」のためには、「直前期」と「直前々期」の平均を使用し、「比準要素1や0の会社判定」には、さらに「直前々期」と「直前々期の前期」の平均を使用する。

・つまり、株価計算においては、「直前期」と「直前々期」の平均の金額を
「類似業種比準の計算」する際に用いる。

・「純資産金額」は常にプラスなので、「年利益金額」又は「年配当金額」のいずれかがプラスであれば「比準要素1や0の会社判定」とはならず、比準要素2の
「一般の評価会社」として「類似業種比準の計算」が可能になる。 参照ペ-ジ


  比準要素数1の会社の判定

・比準要素数1の会社とは、直前期末を基とした類似業種比準価額計算上の評価会社の「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」、「1株当たりの純資産価額」、このうち、いずれか
「2要素がゼロ」であり、 かつ、「直前々期末においてもいずれか2要素以上がゼロ」である会社をいいます。

・類似業種比準価額の計算における比準3要素B、C、Dの計算に際しては、その計算過程において、次のような
「端数処理」をする必要がある。

  (B)1株当たりの配当金額・・・・・・・・・・・・・10銭未満の端数切捨て

  (C)1株当たりの利益金額・・・・・・・・・・・・・円未満の端数切捨て

  (D)1株あたりの純資産価額・・・・・・・・・・・・円未満の端数切捨て

事   例 1

      
配当金額
    
利益金額
    
純資産価額

直前期

0千円

0千円

0千円
直前々期
0千円

0千円

0千円
直前々期の前期
0千円

400千円

(1,000千円)
(注7)






直前期末を基準
(B1) (注1)

(C1) (注3)

(D1)(注5)
0円00銭
0円
0円

0円
直前々期末を基準
(B2)
(注2)

(C2)
(注4)

(D2)
(注6)
0円00銭
0円
10円

2円


・発行済み株式数は、1株50円換算で100,000株とする。


・直前期末を基とした判定要素(B1)、(C1)及び(D1)のいずれも0であるので、
「比準要素数0の会社」に該当する。

・比準要素0の会社は、課税時期に係る
「直前期末の状況のみ」をもって判定対象にしているため、直前々期末の状況は一切問わない。

・従って、「比準要素数1の会社」の判定は必要ない。



(注)1.直前期末以前2年間における評価会社の剰余金の「配当金額」の合計額の2分の1に相当する金額を、直前期末における発行済株式数で除した金額

注)2.直前々期末以前2年間における評価会社の剰余金の
「配当金額」の合計額の2分の1に相当する金額を、直前期末における発行済株式数で除した金額

注)3.直前期末以前1年間における評価会社の
「利益金額」を、直前期末における発行済株式数で除した金額(上段)、又は直前期末以前2年間における評価会社の利益金額の合計額の2分の1に相当する金額を、直前期末における発行済株式数で除した金額(下段)

注)4.直前々期末以前1年間における評価会社の
「利益金額」を、直前期末における発行済株式数で除した金額(上段)、又は直前々期末以前2年間における評価会社の利益金額の合計額の2分の1に相当する金額を、直前期末における発行済株式数で除した金額(下段)

注)5.直前期末における評価会社の
資本金等の額及び利益積立金額に相当する金額の合計額(別表5の1の金額)を、直前期末における発行済株式数で除した金額

注)6.直前々期末における評価会社の
資本金等の額及び利益積立金額に相当する金額の合計額(別表5の1の金額)を、直前期末における発行済株式数で除した金額

注)7.(注5)及び(注6)のとおり、「比準要素数1の会社」及び「比準要素数0の会社」の判定には、直前々期の前期末の金額は考慮しないのでかっこ書きとする。

・取引相場の無い株式の価額を純資産価額で評価する場合には、評価差額に対する
「法人税額等相当額の控除を行わないで計算」した金額を「相続税評価額」として記載する。



事   例 2

      
配当金額
    
利益金額
    
純資産価額

直前期

0千円

0千円

0千円
直前々期
0千円

1,000千円

0千円
直前々期の前期
0千円

0千円

1,000千円






直前期末を基準
(B1)

(C1) 

(D1)
0円00銭
0円
0円

5円
直前々期末を基準
(B2)

(C2)

(D2)
0円00銭
10円
0円

5円

・直前期末を基とした判定要素(C1)が0ではない。直前期末以前2年間の実績による場合、下段5円になるので、「比準要素数0の会社」には該当しない。

・直前期末を基とした判定要素(B1)及び(D1)が0であり、かつ、直前々期末を基とした判定要素(B2)及び(D2)が0なので、
「比準要素数1の会社」に該当する。


1.判定要素(B1)又は(B2)は、剰余金の配当金額について、①直前期末以前2年間又は②直前々期末以前2年間のそれぞれの合計額の2分の1に相当する金額を基とする

2.判定要素(C1)又は(C2)は、利益金額について、①(a)直前期末以前1年間の金額又は(b)直前期末以前2年間の合計額の2分の1に相当する金額と、②(a)直前々期末以前1年間の金額又は(b)直前々期末以前2年間の合計額の2分の1に相当する金額の、それぞれいずれか選択した金額を基とする

3.これらに対し、判定要素(D1)又は(D2)は、資本金等の額及び利益積立金額に相当する金額の合計額について、①直前期末又は②直前々期末における各金額を基とする

4.判定上、直前々期の前期末の金額、事例の場合1,000千円は影響しないため、(D2)は0となる
>


事   例 3

      
配当金額
    
利益金額
    
純資産価額

直前期

0千円

0千円

10,000千円
直前々期
10千円

50千円

10,000千円
直前々期の前期
0千円

0千円







直前期末を基準
(B1)

(C1) 

(D1)
0円00(05)銭
0円
100円

0(0.25)円
直前々期末を基準
(B2)

(C2)

(D2)
0円00(05)銭
0(0.5)円
100円

0(0.25)円

・直前期末を基とした判定要素(D1)が0ではないので、「比準要素数0の会社」には該当しない。

・直前期末を基とした判定要素(B1)及び(C1)が0であり、かつ、直前々期末を基とした判定要素(B2)及び(C2)が0なので、
「比準要素数1の会社」に該当する。


1.判定は、各判定要素について次のとおり端数処理を行った金額による

①判定要素(B1)及び(B2)は、
「10銭未満の端数を切り捨てる」

②判定要素(C1)及び(C2)並びに(D1)及び(D2)は、円未満の端数を切り捨てる

2.判定要素(B1)及び(B2)は、計算値5銭は
「10銭未満」であり、端数処理の結果0となり、判定要素(C1)及び(C2)も、計算値25銭及び50銭又は25銭が「1円未満」なので、端数処理の結果0となる



事   例 4

      
配当金額
    
利益金額
    
純資産価額

直前期

0千円

0千円

0千円
直前々期
0千円

2,000千円

0千円
直前々期の前期
500千円

10,000千円







直前期末を基準
(B1)

(C1) 

(D1)
0円00銭
0円
0円

10円
直前々期末を基準
(B2)

(C2)

(D2)
2円50銭
20円
0円

60円

・直前期末を基とした判定要素(C1)が0ではない。直前期末以前2年間の実績による場合下段10円なので、「比準要素数0の会社」には該当しない。

・直前期末を基とした判定要素(B1)及び(D1)が0ですが、かつ、直前々期末を基とした判定要素(B2)及び(C2)が0ではないので、「比準要素数1の会社」ではなく
「比準要素数2の会社」になる。


「比準要素1の会社」にしないための対策

・配当原資があれば、配当を行うことが「比準要素1の会社」に該当しないための最も簡単な選択である。

・この場合、1株(50円)当たりの年配当金額は、
「10銭未満切捨て」とされていることにも注意が必要である。



事   例 5

      
配当金額
    
利益金額
    
純資産価額

直前期

500千円

0千円

0千円
直前々期
0千円

0千円

0千円
直前々期の前期
500千円

1,000千円







直前期末を基準
(B1)

(C1) 

(D1)
2円50銭
0円
0円

0円
直前々期末を基準
(B2)

(C2)

(D2)
2円50銭
0円
0円

5円

・直前期末を基とした判定要素(B1)が0ではないので、「比準要素数0の会社」には該当しない。

・直前期末を基とした判定要素(C1)及び(D1)が0ですが、直前々期末を基とした判定要素(B2)及び(C2)が0ではないので、「比準要素数1の会社」ではなく
「比準要素数2の会社」に該当する。


1.


  比準要素数1の会社に関する取扱い

設   例

・比準要素である1株当たりの年利益金額を算出するに当たり、「C1の判定」ではプラスになるのだが、類似業種比準株価であるCの数値がマイナスになってしまう。

・整合性がとれないように思えるが問題ないのか。



・「1株(50 円)当たりの年利益金額」の本番「(C) 」欄には、「直前期」である「ニの金額を⑤の株式数で除した金額」を記載します。

・ただし、
「納税義務者の選択により」、直前期末以前2年間における利益金額を基として計算した金額((ニ+ホ)÷2)を⑤の株式数で除した金額を(C) の金額とすることができます。

・直前期のみで判定すれば「+」になるのだが、直前期末以前2年間における利益金額を基として計算した金額((ニ+ホ)÷2)を⑤の株式数で除した金額を(C) とすれば、金額類似業種比準株価である(C)はマイナスの数値になってしまい整合性がないが、問題はない。



コメント

・直前期の利益はプラスなので、また純資産もプラスなので、
「比準要素2」の会社に該当することになる。

・「比準要素1」の会社の対象にならず、また類似業種比準株価はマイナスになるので、「いいとこ取り」で自社株式の評価を下げることが可能になる。



  相続税申告の対象会社に対する試算表

      
配当金額
    
利益金額
    
純資産価額

直前期

0千円

0千円

0千円
直前々期
0千円

0千円

0千円
直前々期の前期
0千円

0千円

0千円






直前期末を基準
(B1)

(C1) 

(D1)
0円00銭
0円
0円

0円
直前々期末を基準
(B2)

(C2)

(D2)
0円00銭
0円
10円

0円