法定単純承認
単純承認とは
・普通の相続で、遺族は、被相続人の預貯金、土地等の不動産の権利、借金の義務などを全面的に受け継ぐ。
・被相続人の財産を処分、例えば不動産を売却してしまったような場合には、単純承認があったものと看做される。つまり、「みなし単純承認」とされ、3カ月以内でも、「相続放棄」や「限定承認」ができなくなってしまう。
単純承認したものと法的にみなされてしまう3つの場合 民法921@T〜V
@相続人が熟慮期間内に限定承認又は相続放棄をしなかったとき |
・熟慮期間経過後に、単純承認したものとみなされる。
・限定承認・放棄の「前」に行われた場合に限定
・雨漏りの補修工事は、保存行為にあたり、処分行為には当たらない。
・不動産の賃貸(土地、建物、動産)については、賃借期間が短期賃貸借に該当する場合には、処分したとはみなされない。
・土地の賃貸は5年以内 ・建物の賃貸は3年以内 ・動産は6ケ月以内 ・山林の賃貸は10年以内
・上記「民法602条」に規定する短期賃貸借期間内であれば、財産の処分には当たらず、相続放棄や限定承認が取消されることはない。
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B相続人が相続財産の全部又は一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意で相続財産の目録中に
記載しなかったとき |
・過去に限定承認・放棄をした「前」であっても、「後」であっても、一種の制裁として単純承認したとみなされる。
・例えば、相続放棄の申述書を提出した後に、不動産を売却したり、他人に預けていた預金を引き出して自分名義にしたような場合には、例え相続放棄が認められた後でも、単純相続したものとされる。
・「財産目録」の作成は、限定承認の場合に作成する必要があり、相続放棄においては必要ない。
・実際、家庭裁判所は、相続財産の処分や隠蔽について「調査するのか」、という疑問が生じるが、実際には調査することはない。
・一般的には、債権者からの訴えで相続財産の処分や隠蔽について露呈し、それに伴って「相続放棄」や「限定承認」の取消しが行われる。
・家庭裁判所には、他の裁判所と異なり「既判力はない。」
・既判力とは、前の確定裁判でその目的とした事項に関する判断につき、当事者は後の裁判で別途争うことができず、別の裁判所も前の裁判の判断内容に拘束されるという効力、すなわち前の裁判における判断内容の後の裁判への拘束力のことをいう。
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