「土地保有特定会社」の定義と評価方法



  「土地保有特定会社」の定義とその評価方法

概    要

・「土地保有特定会社」とは、課税時期において評価会社の有する各資産を財産評価基本通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める「土地」及び「土地の上に存する権利」の価額の合計額の割合が、大会社(一定の小会社を含みます)の場合は「70%以上」、中会社(一定の小会社を含みます)の場合は「90%以上」である会社をいう。

・ここにおける
「土地等」には、固定資産としての土地等だけでなく、不動産会社が所有する「棚卸資産の土地」「造成中の土地」、「山林」、「農地」も含まれることに注意する必要がある。

・例えば、中国に進出し
「中国の借地権」を所有しているのであれば、それも分子に含まれ、さらに3年以内に取得したものであれば、「通常の取引価額」で計上することになる。


・土地保有特定会社の株式の価額は、
「純資産価額方式」により計算した「1株当たり純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」によって評価します。

・ただし、土地保有特定会社の株式の取得者とその同族関係者の有する株式の合計数がその土地保有特定会社の
「発行済株式数の50%未満である場合」のその取得者の株式については上記の「1株当たり純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の「80%相当額をその評価額」とします。


会社規模
判  定  基  準

大会社


中会社

小会社

・土地保有特定会社は、本来的には
「大会社」「中会社」を対象としていますが、資産規模が大きく土地保有割合の高い会社で従業員数が5人以下の様な小会社については、その資産価値に応じて評価することが合理的であることから総資産価額基準に応じてそれぞれ保有割合により土地保有特定会社に該当するか判定します。


@
総資産価額(帳簿価額)基準のみで判定した場合には、「会社区分が大会社」に該当する小会社
           
総資産
価 額
 卸売業・・・・・・・・・・20億円以上
 小売・サ−ビス業・・・・10億円以上
 その他業種・・・・・・・・10億円以上


A
総資産価額(帳簿価額)基準のみで判定した場合には、「会社区分が中会社」に該当する小会社
            
総資産
価 額
 卸売業・・・・・7千万円以上20億円未満
 小売・サ−ビス業・・4千万円以上10億円未満
 その他業種・・・・5千万円以上10億円未満


B上記@及びAに該当しない小会社
(総資産価額・従業員数基準・年取引金額基準のいずれで判定しても小会社に該当する会社)
                  
・土地保有特定会社の判定は不要・・・・・・つまり、常に土地保有特定会社には該当しない

総資産
価 額
 卸売業・・・・・・・・・7千万円未満
 小売・サ−ビス業・・・4千万円未満
 その他業種・・・・・・・・5千万円未満

*土地等の保有割合を判定する場合における「総資産価額(相続税評価額による)」および分子の「土地等の価額(相続税評価額による)」の計算に当たっては、
3年以内取得不動産の「通常の取引価額」による評価の特例が適用される。

*会社規模の判定については、非上場株式の会社規模の判定を用いる。


土地保有特定会社の株式の評価
評価上の区分 株式の評価方法
原則的評価 ・同族株主等の保有議決権割合が50%超 純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)
・同族株主等の保有議決権割合が50%以下 純資産価額×80%
特例的評価 な     し 下記に掲げる@又はAのうち「いずれか低い方の金額」

@配当還元評価額

A上記の原則的評価方式によった場合の評価額


  「土地保有特定会社」の株式の評価額の計算

・純資産価額方式によって評価する。

・純資産価額方式とは、相続税評価額によって計算した金額であり、その保有割合によっては80%評価することも可能である。


・土地保有特定会社の株式に該当するかどうかの判定を行う場合において、不動産販売会社が「棚卸資産」として所有する土地等の取扱い

・判定の基礎となる土地等
(土地及び土地の上に存する権利)は、所有目的や所有期間のいかんにかかわらず、評価会社が有している全てのものを含むこととしているので、棚卸資産に該当する土地も含まれることとなる。

・この場合の